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“作品を生み出す仕組みになる” 僕の目的は主題や媒体が如何に変わろうとそれ以外にない。2018年あたりから“仕組み”自体の欠陥、あるいは限界を感じた。翌年はそれでも撮影術、セレクトにおける判断能力、ポストプロダクションでの工程の見直しを試みたのだけれど理解したのは、今の僕が持っている技術・経験・知識の延長線上に、僕が目指しているものがないという事実だけだった。

それでも今の延長線上にあるいくつかの作品を仕上げながら、新たな仕組みをつくり「徐々にシフト」していこうなどと生温いことを考えていたら、バチでも当たったのかいきなりパンデミックである。

今風に言えば僕は極度のビビリである。緊急事態宣言=戒厳令の如く振る舞っていたし、このまま文明社会が滅びるのかなくらいには思っていた。後年「思えばあれが人類滅亡の始まりであった」など少数の生存者に語り継がれてしまうような夢想に耽っていたのだけれど、だからと言ってなす術もないのは明らかだったので、この狭い部屋の中だけで作品を完成できる環境をつくることを目指して計画を練った。

幸い収入や生活に悪影響はなかったので、技術(毎日練習)・経験(忘れる)・知識(捨てるもの・残すものの仕分け)のリプレイスに明け暮れた。

新しい“作品を生み出す仕組み”がいつできるのか皆目見当がつかないし、そもそも何もできずに死んでしまうかもしれないので、この制作ノートは僕にとってのみ意味がある。

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